温泉は、地中から湧いているお湯にそのまま入るのが一番です。
源泉のままに薄めず、沸かさず、循環させずに湯船にそのまま注ぎ入れて入れるお風呂が最高です。
ところが、源泉をそのまま使っている温泉は以外に少なく全国でも500軒程度と言われています。
温泉以外を目的としていく場合は構いませんが、温泉を一番の目的とする場合は、良い温泉を選びたいものです。
源泉100%かけ流し
●掛け流しの温泉:掛け流し(かけながし)とは、温泉の給湯・排水方法の1つで、源泉から自然に湧出または機械的に汲み上げたお湯を浴槽に入湯し、浴槽からあふれた湯をそのまま排出します。
●循環の温泉:循環とは、温泉の浴槽への給湯・排水方法の1つで、源泉から自然に湧出または機械的に汲み上げたお湯を浴槽に入湯し、浴槽から溢れ出た湯を、貯湯槽にためてろ過などをし、塩素系の薬剤を混ぜて再び浴槽に戻す方法です。
循環湯の場合、消毒のために塩素を使います。
そのため、プールのような塩素臭さを感じますし、身体に良くありません。
せっかく、温泉に湯治や疲労回復に行くのなら、しっかりとした温泉を選びましょう。
なぜ、循環をするのか?
温泉は自然の力が大きいため、安定した湯量がないと源泉100%かけ流しを行えません。
草津温泉や別府温泉など、源泉のお湯が沸きだす量が多いと良いのですが量が足りないとそのまま捨てることができずに、少ないお湯を循環させて利用するわけです。
湧出量の多い温泉 :別府温泉、・湯布院温泉・草津温泉・伊東温泉、・玉川温泉などです。
湯河原温泉の温泉櫓
加水・加温について
同じく、お湯の量が少ない・湯温が低い場合には、加水・加温が行われます。
これも、源泉100%そのままのお湯の方が良いため、お湯の量が少なくて加水されているのか。お湯の温度が低くて加温しているのか注意が必要です。
温泉の定義
なぜ、このような循環や加水・加温が起きるかというと温泉の定義にその原因があります。
温泉の定義は緩いので、意外とカンタンに温泉と名乗ることができるのです。
温泉とは「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)」で、次の一つ以上に該当するものである。
・地中から湧出する際の温度が25度以上
・1kg中に、ガス性のものを除く溶存物質を1000mg以上を含有
・1kg中に、遊離炭素、リチウムイオン、メタほう酸など温泉法で指定された18種の物質一つ以上について、それぞれ設定された基準値以上を含有
温泉は泉温によって以下の4つに分類されます。
・冷鉱泉……25度未満
・低温泉……25度~34度未満
・温泉 ……34度~42度未満
・高温泉……42度以上
源泉100%かけ流し温泉の見極め方
1. 宿のホームページやパンフレットを良く読んでください。
源泉100%かけ流しは、最高のセールスポイントです。
もし、あなたが宿のオーナーだったら自慢の温泉について、その良さを語るでしょう。
お湯の良さより景色を自慢している宿は、お湯が良くない事もあります。
源泉100%かけ流しと記載している宿を選んでください。
書いていない場合は、大抵、源泉100%かけ流しではありません。
2. 当該地の湯量や温泉の由来を調べる
その土地がいつから温泉が湧いているのか?由緒のある温泉地か?湯量豊富かなどを検索して調べてみましょう。
近年のボーリング技術の進化は著しく地下何百メートルもの深さから温泉をくみ上げることができます。
自然のままの温泉に入りたい場合は古くからの温泉地を選びましょう。
湯守・湯本・湯元などの名前が地名や宿名についているところは、良いお湯の可能性が高い宿です。
3. 大浴場や最上階の展望風呂
大きな浴場や最上階の展望風呂などは、湯の良さを味わうものではありません。
自然に湧出するお湯だけでは大きな浴場を賄えずに、循環や加水をしている事が多いといえます。
4. 湯船の縁
温泉は湯口からお湯を注ぎます。そして溢れたお湯は湯船の縁から流れ出していきます。
これがかけ流しの醍醐味です。
ところが、湯口から湯がたくさん出ているのに溢れていない場合は、吸水口があって循環させている可能性が高いお湯です。
これらのポイントを利用して、いい温泉を選びましょう。
予約の際に聴いてみるのも一つです。
では「本物の温泉」とは何か。その答えは、古くから多くの人々が親しんだ温泉を掛け流す入浴法に受け継がれている。
温泉掛け流しは、我が国固有の温泉文化なのである。温泉を掛け流す本物の温泉利用へのこだわりが、「源泉湯宿を守る会」設立の強い動機となっている。
作業は本物の温泉の定義付けから始まった。もちろん、温泉法の「温泉」の規定に準じている。「源泉湯宿」の「源泉」とは、地中から湧出する源の温泉のことである。
その源泉を、宿の集客定員に見合う量を引き湯して浴槽に掛け流している宿を、「源泉湯宿」と呼ぶのである。当然のことだが、これは地下の温泉源が保全されてなければ出来ない事なのである。
温泉の冷まし方
温泉は、地中から湧いていますので、人が入浴するのにちょうど良い温度で湧き出すとは限りません。
熱すぎる場合には水で薄めると簡単ですが、温泉成分まで薄まってしまいます。
そこで、温泉宿は様々な工夫をこらして適温に冷まします。
有名なのは、草津温泉の湯もみでしょう。
90℃にもなる熱いお湯を板でもみ(湯をかきまぜて)温度を下げています。
同じ草津温泉の奈良屋では、適温まで湯を寝かせてから使います。
源泉から湯船までの間に様々な工夫をこらして適温にする様子を宿の方に聞くと面白い話が聞けると思います。
伊豆の温泉では、温泉に入ることの中でも温泉湯治に力を入れています。
天城流湯治法の杉本錬堂氏が中心となり、温泉で病気や怪我、慢性の肩こりや腰痛・膝痛を治すための温泉療法に取り組んでいます。
温泉に湯治に行くことで、身体にエネルギーを注入し、様々な慢性的な病や症状を治していきましょう。
湯布院温泉の湯けむり