体調を維持する上で噛むことは重要です。サラリーマンは、早飯が特技の一つで、「ゆっくり飯を食べている暇があれば仕事をすること」が出来る人の秘訣と言われた時期もありました。
しかし、健康のためには、良く噛んだ(咀嚼)方が身体のために良いと言われています。なぜなら噛むことで、唾液や消化酵素の分泌を促進し胃腸からの栄養の吸収を促進するからです。
さらには、噛むことで、口・歯・顎の筋肉が連動して顔から上半身全体に刺激を与えてホルモンバランスから神経バランスを整えることが研究の結果として示されています。
■杉本錬堂氏による咀嚼の重要性
何回位噛めば良いのでしょうか。私自身、あまり噛まない方で早飯に分類される方でした。
しかし、35歳位から脂っぽい食事が身体に応えるようになり、健康に気を使うようになってきました。
そして、今年(2011年9月)に「天城流湯治法の湯治司である杉本錬堂氏」と「治し家角谷敏宜氏」の湯治ツアーに参加した時に杉本錬堂氏が、話したことがこの咀嚼の重要性でした。他にも筋肉と関節の関係や首や肩甲骨のこり、肋骨周りのマッサージなどを教わりました。
「咀嚼の大切さ:30回噛むこと」
二泊三日のツアーでしたので、杉本錬堂氏と食事も共にしていたのですが、そのメンバーを観察した結果、多い人で15回程度、少ない人だと4回程度しか噛んでいないとのことです。
健康維持のためには30回噛むことを指導されました。
しかし、すべての食事や食材に30回噛むことは難しく、食事は楽しむという面も大切であることから、原則30回で難しい時は無理しなくても良い。原理原則を大切にすればそれで良いと実行しやすい教えでした。
◆咀嚼の効果
この湯治ツアー後、常に30回とはいかないものの、できるだけ噛むことを意識していると、不思議に胃腸のもたれや下痢などの症状が少なくなってきました。
また、歯医者で顎関節症になる恐れがあるので注意してくださいと言われていた口を大きく開けるとカクッと音が鳴る症状が改善されていました。
◆噛む事で唾液が出る。
今まで、あまり噛まなかった方は、30回位噛むことを意識してみてください。
唾がたくさん出ることを感じられると思います。この唾がたくさん出ることが胃腸での消化を助け栄養を吸収しやすくします。
唾が出ない状態だと胃腸がその分、頑張る必要があり、胃腸炎や食道炎・下痢などになってしまいます。
運動やマッサージで身体に刺激を与えることで健康維持できることは、もう常識になっていますが、良く噛むことで脳や内臓に刺激を与えて健康維持に努めることができます。
咀嚼の効果についてのまとめ
良く噛む事は筋トレや運動・食生活の改善より簡単に行うことが出来、時間もかからないため継続しやすい方法です。
良く噛む事の6つの効果
1.顎を発達させてホルモンの分泌を促進する
2.歯を丈夫にする
3.噛み砕くことで食べ物を細かくし消化を助ける。
4.唾液の分泌を促進する。
5.大脳を刺激し脳の発達を促し認知症を予防する
6.集中力を高め、同時にストレスを緩和する
■顎の退化
江戸幕府を創設した徳川家康と大名達は下剋上の世の中から成りあがったため、その肖像画は顔が四角く、ごつい顔をしています。
その人達の子孫であるはずの幕末の大名達はほとんが細面で優しい顔立ちをしています。
これは、平和な時代が続いた事で殿様向けの食事として柔らかい物中心の食事となったために必然的に咀嚼回数が減り、顎骨が細くなり退化します。
幼いうちから軟らかいものしか食べないと顎の骨が十分に発達しません。それを何世代も続けると身体も弱くなってしまいがち。現代人がほっそりしてきたのも食べ物が柔らかくなり咀嚼が不足していると言えるでしょう。