高血圧は血圧が高くなる病気。 血圧とは心臓から送り出された血液が血管(動脈)の壁に与える圧力です。
心臓はポンプのように伸び縮みしながら血液を送り出すため、心臓の収縮により血圧が最も高くなった時が収縮期血圧(一般的に呼ばれる上の血圧)、心臓の拡張により最も低くなった時が拡張期血圧(下の血圧)と呼ばれます。
血管に高い圧力が長期間かかると血管の壁が厚くなりしなやかさや弾力性が失われます。そのため、血管が硬くなり時には、血管の一部分が狭くなってきてしまいます。これが「動脈硬化」です。
さらに血圧は上昇するという悪循環に陥ってしまいます。そのため血液を送り出す心臓にも負担がかかってしまいます。
高血圧についての目安。
市販の血圧計でカンタンに計ることができます。
◆成人における血圧値の分類(高血圧治療ガイドラインより抜粋)
分類 | 収縮期血圧 (mmHg) |
拡張期血圧(mmHg) | |
至適血圧 | 120未満 | かつ | 80未満 |
正常血圧 | 130未満 | かつ | 85未満 |
正常高値血圧 | 130~139 | または | 85~89 |
軽症高血圧 | 140~159 | または | 90~99 |
中等症高血圧 | 160~179 | または | 100~109 |
重症高血圧 | 180以上 | または | 110以上 |
収縮期高血圧 | 140以上 | かつ | 90未満 |
高血圧の原因と危険性
はっきりと原因がわかる高血圧を二次性高血圧(症候性高血圧)と呼びますが、それは全体の1割以下です。(腎炎などが原因になる腎性高血圧症など)
◆原因不明がほとんど
日本人の高血圧の大部分は原因が特定できずに「本態性高血圧」と呼び、検査をしてもはっきりとした原因が見つからない症状が9割以上。
◆心臓や血管等の病気(循環器病)の危険因子
高血圧は、心臓や血管の病気の引き金になる可能性のある病気です。 その他、喫煙・高コレステロール血症・糖尿病・高齢(男性60歳以上、女性65歳以上)・若年発症の心血管病の家族歴などが心臓や血管の危険因子です。
◆付随して起こりやすい病気
血圧が高くなると血管が硬くもろくなる可能性があり、心臓や血管に症状が出る可能性があります。
- 心臓が大きくなる心肥大
- 動脈硬化
- 心臓が血液不足になる狭心症や心筋梗塞
- 脳梗塞や脳出血、脳卒中
- 腎硬化症などの腎臓病
65歳以上の高齢者では、医療費の中で最も多い32.6%を占めているのが、高血圧関係(高血圧・虚血性心疾患・脳血管疾患等)の治療費です。
高血圧の治療について
治療方法の流れを日本高血圧学会がガイドラインとして出しています。(クリックすると拡大します)
◆降圧目標 :どの程度まで血圧を下げれば良いのかを同じく日本高血圧学会が、ガイドラインとして公表しています。
◆必要に応じて降圧治療薬を飲むとともに生活習慣の改善を行うことになります。
生活習慣の改善で難しいのは、禁欲的生活により高血圧は治癒したが楽しみが無くなり元気をなくす可能性や、できない自分を責めることです。
無理をし過ぎないようにしましょう。 極端なダイエットが成功しないように極端な生活習慣改善が難しいのは当たり前です。
【主な生活習慣改善ポイント】
- 食塩摂取量を制限する
- 適正体重を維持する
- アルコール摂取量は適量にする
- 適度な運動療法をする
- 禁煙
- 脂質(飽和脂肪酸やコレステロール)の摂取量を制限し、食物繊維を増やす
ただし、降圧治療薬には副作用もあります。医師の処方・指示に従って利用するとともに副作用が生じた場合には、すぐに医師に相談することや医師の指示に納得がいかない場合には他院で確認する(セカンドオピニオン)などが必要です。
また、高血圧=塩の取り過ぎと減塩を指示されます。しかし、塩と高血圧に関係がないとの調査結果もありますので、過度な食塩制限や減塩塩の利用は気を付ける必要があります。