「高血圧」はさまざまな病気を招く原因として危険視され、治療や予防への取り組みは活発です。一方、血圧が低い方は病気ではなく健康として扱われ治療や予防が行われていません。
なぜなら、「低血圧」であることは他の重大な病気の原因にはならないと言われているからです。でも、体がだるい、疲れが取れない、気力がわかない、食が細く十分な栄養が摂取できないなど、日常生活を過ごしにくいのも事実です。 解消する方法はないのでしょうか?
血圧とは
心臓から送り出された血液が血管(動脈)の壁に与える圧力です。心臓はポンプのように伸び縮みしながら血液を送り出すため心臓の収縮により血圧が最も高くなった時が収縮期血圧(一般的に呼ばれる上の血圧)、心臓の拡張により最も低くなった時が拡張期血圧(下の血圧)と呼ばれます。
低血圧の診断基準は?
高血圧は決められた判断基準がありますが、低血圧は医師や研究者により判断基準が違います。低血圧症は基本的には重い病気との関連性が薄いため、どんなに血圧が低くても、具体的にめまいやだるさ等の症状が無ければ判断しない場合もあるのです。
目安としての一般的な基準は、安静にして血圧を測ったときの最大(収縮期)血圧が100~110mmHg以下の場合です。 最小(拡張期)血圧については、60mmHg以下とすることが多い。
低血圧には様々な種類がある
◆「本態性低血圧」
「本態性」とは原因が分からないこと。 特別な原因がない状態が本態性低血圧です。
めまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、疲れやすい、寝起きが悪い、動などさまざまな不快症状を訴えることがある。(不定愁訴)
◆「起立性低血圧」
横になったり座ったりしているときは正常な血圧なのに、急にからだを起こしたり立ちあがったりしたときや長時間立っているときに血圧が下がりめまいや立ちくらみなどを起こします。
普段、血圧が低くない人でも、起き上がったときに、最大血圧が20 mmHg以上下がるのが起立性低血圧の特徴です。 原因となる病気がない場合を本態性起立性低血圧といい、原因となる病気がある場合を症候性起立性低血圧といいます。
血圧を調節する自律神経の働きに問題があるとされています。
◆「二次性低血圧」
低血圧の原因がはっきりしている場合を二次性低血圧と呼びます。血圧が低くなる病気には循環器や内分泌の病気があり、急激に低血圧になる場合と慢性的に続くものがあります。
●急激に低血圧になるもの
…心筋梗塞、うっ血性心不全など
…急性出血、やけど、激しい下痢・嘔吐、腸閉塞、急性中毒など
●慢性低血圧になるもの
…がん、慢性伝染病(肺結核など)、貧血、白血病、甲状腺機能低下、肝硬変など
◆低血圧と貧血の違い
貧血は立ちくらみやめまいなどの発生する症状が似ていますが別の体調不良の症状。
- 低血圧とは、血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなった結果、めまいや立ちくらみを起こします。
- 貧血とは、ある一定量の血液中に含まれる赤血球、またはヘモグロビンが正常値以下(男性1dl中12g以下、女性10g以下)に減少した状態のことです。
血液検査をすればどちらなのかが分かります。それぞれ対処法が違うので、低血圧や貧血を疑う症状があるのなら血液検査を受けましょう。
低血圧の治療について
検査の結果、低血圧以外に特別な異常がなければ、特別な治療は行われないケースが多いのが現状です。本態性低血圧では、対症療法を中心とした生活習慣の改善を行い、基本的には薬物療法を行いません。
もちろん、二次性低血圧だと原因である基礎疾患の治療を優先します。 症状に応じて抗不安薬や昇圧作用のある薬剤を用います。
めまい・疲れやすいなどの不定愁訴に対しての治療や投薬を行うケースもありますが、症状が改善しないことが多いため、低血圧に悩む人は多いのです。
改善のために行う療法
解消は生活習慣の改善が一番。大きな問題にならないとはいえ様々な不定愁訴により日常生活に支障をきたします。
そこで、生活習慣を改善することで心身を健康に維持して治していこうと考えます。
東洋医学から見た低血圧
東洋医学は低血圧は貧血や冷え症とほぼ同じ傾向を持っていると考えます。
婦人科系が弱い、胃腸が弱い、気力不足、腎が弱いなどの原因で低血圧が生じるとの判断から漢方薬や鍼灸治療で低血圧やめまい・肩こりなどの症状を併せて治療します。
生活習慣の改善(食養生と規則正しい生活習慣)
低血圧の人は、食が細い場合が多いため、栄養をきちんと取りましょう。もし、ダイエットを行っている場合は、無理なダイエットが身体に負荷をかけていることがあります。
食欲を増進させるしょうが・にんにくやわさび・こしょう・からしなどの香辛料を上手く利用し、レバー・山芋・ホウレンソウなどの造血作用を持った食材を食べるようにしましょう。
低血圧改善のための生活習慣
- 規則正しい生活
- 炭水化物・たんぱく質・脂肪をバランス良くとり、サプリメントやダイエット食品に頼らない。
- ウォーキングやストレッチ・体操などの軽い運動で筋肉を鍛える。
- 毎日、入浴して冷えを改善する。
- おなかや肩・腰を軽くマッサージやストレッチをして筋肉を活性化させる
- 睡眠をしっかり取る
改善には、食生活の改善・生活習慣の改善が効果的です。
また、鍼灸治療院では、体質改善や低血圧に関連する肩こり・腰痛・めまい・疲労感の回復などを改善しますのでお悩みの方におススメです。