重い荷物を持つ事が多い。デスクワークが多いなど腰痛と職業の関係について「医療情報サービス Minds(マインズ)」の情報をまとめてみます。看護婦や運転手・建設業などで腰痛の有無などを調査して結果を公表しています。
私も自分自身が腰痛になるまで、こんなにもつらいものだとは思いませんでした。幸いまだ、「ギックリ腰」になったことはありませんが、ここで何かあったら危ないという状況には何度も陥っています。
私は東洋医学の一つ「鍼治療」で腰痛を治しました。
看護婦と腰痛
(1)腰痛の有病率
病院勤務の看護婦では生涯の有病率は60%であり、1年の期間有病率は45%。
1ヶ月以内に腰痛のない大学病院看護婦を2年間追跡調査すると、新しい腰痛の発生する頻度は38%、欠勤するほど症状の強いものは11%程度にみられた。(2)腰痛のリスクファクター
最も強い要因は腰痛の病歴の有無であり、過去12ヵ月以内に1ヵ月以上続く腰痛がある場合は66%に新たな腰痛の発生がみられた。 その他では身長が高いと起こりやすく傾向があり1)、頻繁に頭痛がしたり憂鬱な気分になるものは、腰痛を訴える傾向が強く、 労働内容ではベッドと椅子との間の患者の頻繁な手作業での移動、徒手的なベッド内での患者の体位変換、入浴での患者の移動などで腰痛が多かった2)。
日本人全体の腰痛率が80%とも言われている中では、看護婦だけ突出して腰痛になりやすいわけではなさそうです。背が高い人がなりやすいというのはベッドが低くて患者の介護や世話をする際に腰をかがめて作業しなければいけないことが影響していそうです。
車両運転手(ドライバー)と腰痛
<スポンサーリンク>
(1)腰痛の有病率
トラクターを運転する農民の調査時の有病率40%
バス運転者調査時の有病率80.5%(頚部痛も含めて )
トラック・ドライバー1ヵ月間の有病率50.3%(2)腰痛のリスクファクター
腹の胴回りと体重
運転姿勢、労働時間割
残業、振動、狭い作業空間、座位姿勢、少ない休憩時間
不規則な労働時間割、少ない休憩、長時間の運転、振動(3)振動と椎間板変性について
トラクターの運転をする農夫としない農夫の比較ではレントゲン、MRIにおいて椎間板、椎間関節の変性度には有意差がみられなかった。
ドライバーと腰痛の関係では、バスの運転手の腰痛率が高い事が特徴です。農家の有病率は40%とバス運転手の半分です。
座ったまま緊張しながらの運転を長時間続けることは腰痛になりやすいということですね。調べなくても分かることですが調査でもそういったデータが出ているということです。
トラクターでの比較として、振動が腰の椎間板に与える影響はないとのこと。
建設労働と腰痛
(1)腰痛の有訴率
腰痛の有病率は、53.2%であった。
腰痛の調査時の1年有病率は、塗装工(57%)が高く、コンクリート建築業者とれんが工(41%)、大工と非熟練労働者(38%)であった。れんが工は10年以上労働を続けると、腰障害の発症と関連していた4)。 腰痛のない建設労働者について3年後に調査すると1年有病率は30.9%であった。
(2)腰痛のリスクファクター
坐業者の建築家と比較して非坐業の建設業では腰痛に対するオッズ比はかなり高かった。強い習慣性の喫煙は、腰痛発生に関与した7)。
れんが工の仕事(重い石を持ち上げる作業が2時間以上)や煉瓦敷き職人の仕事(長時間のレンガをならべる作業)は腰痛の有病率を高くする要因である9)。
建設業全体では、腰痛の影響は少なく、やはり座り仕事や重いものを下から上に持ち上げる作業が腰に悪いことが分かります。喫煙者が腰痛になりやすいのは、喫煙による血行不良の影響かもしれません。
工場労務者と腰痛
(1)腰痛の有訴率
航空機エンジン工場 1年有訴率は、69.3%であった。
機械組立工場 生涯有病率:48.2%、1年有病率:31.5%、時点有病率は11.5% 。
航空機組立部品労働者 1年有病率42.3%。
(2)腰痛のリスクファクター
重量物挙上作業ではNIOSH(国立職業保安健康協会)によるガイドに従った水平距離か重量物挙上作業頻度を調査することは腰部損傷の潜在の危険度を評価する上で信頼性が高いことを示唆された13)。
重量物扱う仕事のなかでの重量物挙上作業、坐位労働のなかでの余暇のスポーツ活動、年齢、両親の腰痛の家族歴は腰痛のリスクファクターであった。 教育レベル、婚姻の状態、スポーツ不足、喫煙、重量物挙上作業と屈曲姿勢と腰痛との関連を指摘した)。
製薬工場では梱包部や生産部、座位作業、重量物挙上作業や就業6年以上の労働者に腰痛を多く認める傾向があった。 自動車工場において全般的健康状態、喫煙、精神的ストレスで腰痛との関連が認められた。
重いものを持ち上げるのは当然として、普段、座り仕事が多い人が運動やスポーツで腰痛になることが指摘されています。また、両親が腰痛持ちだと腰痛になりやすとのこと。
職場復帰と腰痛について
職場復帰できるまでにかかる期間と、復帰に必要な大切な事項
復帰までの期間
補償を受けている腰痛による休業者305人の職場復帰率は112日後では50%が未復帰、270日後では11.3%が未復帰であった17)。
腰痛により休業している55人の追跡調査では12.7%が1ヵ月以内で、40%が2ヵ月以内で、54.5%が3ヵ月以内、そして76.3%が6ヵ月以内に職場復帰した18)。
労災による腰痛の休業者を欧州の6ヵ国で比較すると、1年以内の作業再開の頻度は、デンマークの32%からオランダの73%まで差がみられた19)。
腰痛はひどくなると仕事を行う事すら困難な状態に陥ります。補償を受ける程の重い腰痛患者の場合、約4カ月後でも50%しか復帰できていません。
デンマークでは1年後でも32%しか復帰できていないというデータが出ています。
復帰の要因
職場復帰を遷延させる要因としては、放散痛の有無、機能性身体障害の程度、早い作業テンポと作業量、同僚との人間関係などが指摘されている。職場復帰には身体障害の遷延、認識、痛みの性質や精神的重圧などの要因が関与している。
更正計画カウンセリングの参加者の分析では職場復帰の期待値が低いものは、高度な身体障害、疼痛の強いもの、若く、失業期間が長いものなどがあげられる。
休業している腰痛患者を職場復帰させるための有効な治療や衛生手段はない
休業している腰痛患者を復帰させるための手段はないというのはショックです。
確かに腰痛には、確実にこれが利くという治療手段はありませんが、様々な治療方法がありますのでつらい腰痛を解消しましょう。