鍼灸師になるためには、まず国家資格を取ります。
鍼灸師を育成する専門学校や短大、大学などに3~4年間通って、鍼灸や東洋医学についての専門知識や技術、理論などを幅広く学びます。
鍼灸学校を卒業後は年一回おこなわれている「はり師」と「きゅう師」の国家試験を受験し、両方の国家試験に合格すると鍼灸師となることができます。
鍼灸師の国家試験合格率は80%強。鍼灸師専門の専門学校や短大、大学などに通ってしっかりと学べば合格する可能性は高いといえます。
鍼灸師の国家試験(資格)データと鍼灸師の学校
鍼灸師の国家試験合格率(平成22年)
受験者 | 合格者数 | 合格率 | |
はり師 | 5,483名 | 4,553名 | 83.0% |
きゅう師 | 5,499名 | 4,595名 | 83.6% |
あん摩マッサージ指圧師 | 1,849名 | 1,609名 | 87.0% |
柔道整復師 | 6,625名 | 4,592名 | 69.3% |
鍼灸師を育成する学校に入学するには、大学に入学できることが条件となっています。(一般的には高卒以上)
学校によって授業内容や受講料、設備、生徒数、国家試験の合格率などは異なりますので、学校を選択する場合には複数の学校に資料請求を行い、評判を調べたり学校見学などを行って、自分に適した学校を選ぶようにしましょう。
鍼灸師の育成学校では、資格(国家試験合格)を目指して、様々な勉強を行います。
その中には、実際に患者様を治療する実技や生徒同士で鍼灸を行いあうことで技術を習得する練習もあります。
鍼灸資格は、頭で学ぶ知識に加えて、患者様を治療していくために臨床経験を積むことが必要になってきます。
腰鍼を執筆した鍼灸師の竹村文近氏によると様々なものに鍼を刺すことで、微妙な感触を学んだそうです。
きゅうりやメロンといった野菜や果物、犬・猫、洋服、英和辞典・陶器といったものに刺すことで、鍼の微妙な刺し応えや刺さらない感触を確かめたとのこと。
鍼灸学校を卒業後
鍼灸学校を卒業し国家資格を取っただけでは、一人前の鍼灸師とはいえません。
多くの患者様を診て診断し、治療を行うことでさまざまな臨床経験を積んでいく必要があります。
特に鍼灸治療の場合、一般の病院で治癒しなかった症状や慢性的な症状で来院する患者様が多く、病気の原因や治療方法が理論通りにいかないことも多いでしょう。
そのためにもさまざまな臨床経験を積むことと、師匠を見つけて学ぶことの二つが大切になります。
鍼灸治療院などで、経験を積み自分の技術に自信が付いてくると独立開業を考える方が多いでしょう。。
腕に自信があれば、開業にかかる費用もそれ程大きくありませんし独立しやすい職種です。
鍼灸師として独立開業するには
鍼灸師として独立するには、臨床経験を積み、治療技術と診断技術を高めることが第一です。
しかし、他に必要な要素もありますので、独立を考えるときには、先輩や師匠・同業・他業種などから学ぶことが必要です。
鍼灸治療院を開業するにあたって必要な5つの能力
1. 資金管理能力:開業時の資金確保や運転資金の管理、そして毎日毎月の資金管理能力がないと治療院のお金が回りません。必要な投資や人材育成などにも支障をきたします。
2. 人材マネジメント(管理)能力:独立した後、人を雇う場合や外部の人と関わる時に必要です。全員にモチベーションとモラルを持って働いてもらうということは、意外に難しいことです。
3. マーケティング・集客能力:どんなに腕の良い鍼灸師で立派な資格を持っていてもお客様が来なければ宝の持ち腐れです。腕だけではお客様は集まりません。お客様をどうやって集めて引き続き来院してもらうかは大切なことです。
4. IT能力:インターネットやパソコンを使うことで、お客様の症状の管理や来院状況の管理、経理作業やチラシづくりなどの鍼灸治療院運営に必要な作業を短縮できます。
5. 人間力:東洋医学の治療は心身全体を調整することが必要です。治療する鍼灸師への信頼感がないと治るものも治りません。患者様自身が気づいていない原因を探り、ストレスを軽減するためにも患者に信頼されること、スタッフに信頼される人間性を身に付けることを忘れてはいけません。
この5つの能力の全てを自分で身に付けるのは難しいと思います。そのために内部のスタッフを信頼し、外部の協力者を得ることで自身の足りない点や苦手な点を補うことを考えましょう。
治療の腕はもちろん、患者やスタッフに信頼される人間性と一般的な社会常識・販売やセールス・経理関係の知識を身に付けてから独立した方が成功します。しかし、人間には得意・不得意がありますし、全てを自分で完璧にこなせるという人はいないものです。
足りないからこそ、人の協力を得られるという面もありますので、自分には能力が足りないからダメだと落ち込まずに前向きに努力を続けた上で、協力を依頼しましょう。
鍼灸師という仕事は、病気にならないこと・慢性的な症状を抑えることが得意なため注目を集めています。
民間資格のマッサージ・国家資格の鍼灸・マッサージの増加はその一つです。
東洋医学の未病という考え方は、高齢化社会・ストレス社会で、身体のどこかに不調を抱えている現代人にマッチします。
実際、医療費は増大する一方です。
重病になる前に治療・健康維持をすることへのニーズは、今後も高まることが予測できます。
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