2002年の夏「肥満の原因は脂肪ではない?」と題した記事が、「ニューヨークタイムズ」に掲載されて米国でブームを巻き起こした「低炭水化物高タンパク質ダイエット」
肩甲骨のこり:目次
お米で太る低炭水化物ダイエットとは
肉を食べても太らない・カロリーは気にしない!とのテーマを元に、パンやパスタが肥満の原因にされて、代わりに肉を食べるようになったダイエット法(低GIダイエット)です。
ハリウッド女優も御用達として日本に輸入され、「炭水化物を食べると太る」として、特に「米」がやり玉にあげられました。 さらに、GI値を参考にする低インシュリンダイエット・低GIダイエットも大ブームを巻き起こしました。
※GI値/ブドウ糖を100とした場合の血糖上昇率
このダイエット法を知らない人にも「米は太る」「白米はダメ」「炭水化物は太る」という先入観が植えつけられる程、インパクトのあるブームになっています。
ところが、このダイエット方法を実践した場合の危険性が次々と指摘されています。その危険性を見ていきましょう。
低炭水化物ダイエットは、なぜ危険なのか
医学論文翻訳のキーウィ翻訳事務所様から少し長いのですが大変重要ですので抜粋して引用させていただきます。
全文は、直接、キーウィ翻訳事務所様でお読みください。
絶食時にはまず肝臓のグリコーゲンが分解されてブドウ糖に戻り、血流に乗って脳を始めとする全身に運ばれ、利用されます。
これだけで脳の機能を13時間維持できます。なお筋肉のグリコーゲンはブドウ糖に分解することはできません。
13時間たって肝臓のブドウ糖が枯渇すると、いよいよ生体の驚くべき作用が始まります。
肝臓で糖以外の材料から脳のためのエネルギーを合成するのです。そのうち半分を占めるのが筋肉の中のアミノ酸で、血液の中に流れ出して肝臓でブドウ糖に作り替えられます。
炭水化物を食べないと、筋肉からエネルギーを取り出してしまうわけです。また、日本人には特に悪い影響があり、糖尿病のリスクが高まる!
低炭水化物高タンパク質ダイエットの提唱者
この低炭水化物ダイエットは、米国のロバート・アトキンス博士が提唱したことが基本となっていますが、共通点は、「米=ごはん」「パン」「麺類」「イモ類」などの炭水化物の摂取を減らす方法です。
そして、逆に肉類を増やしカロリーを気にしなくて良いという、一見、素晴らしい方法ですね。
食事を減らさなくても美味しいものを我慢しなくてもダイエットに成功できるとは、なんと魅力的なのでしょうか。
でも、炭水化物を減らして肉を食べると、糖尿病や痛風などぜいたく病になる食事そのものです。日本ではこの低炭水化物ダイエットを行っている方が多いようですが、日米ともに問題が多発しています。
本能で考えれば、このダイエット方法が良くないということは分かると思いますが、頭と情報で考えれば魅惑的なだけに飛びついてしまう可能性があります。
全米で100万部を突破した書籍「雑食動物のジレンマ」の著者「マイケル・ポーラン」氏は、突如として起きた炭水化物=肥満原因説に対してこう書いています。
文化に深く根付いた食の伝統を持つ社会では、このようなことは決して起きないだろう。
しかもそんな社会では、やんごとなき立法府に国の食生活の指針を審議してもらう必要を感じることもない。~何よりそんな社会の人間は誰も、私達、アメリカ人のように太っていないはずだ。
そういった社会に住む人間は、イタリアやフランスのように楽しみや伝統という昔ながらの非科学的な基準をもとに夕食のメニューを決める国があることに驚いたりはしない。
イタリア人やフランス人は身体に悪いはずのありとあらゆるものを食べている。
それにもかかわらず、アメリカ人よりもずいぶん健やかで幸せそうな食生活を楽しんでいるではないか。
健康に気を遣い、ダイエットだ運動だ・食べ合わせだ・カロリーだと気にしているアメリカ人よりヨーロッパの方が良い食生活をしているという科学万能主義や外食産業などに警鐘を鳴らしている本です。
アトキンスダイエットのブームについて
アトキンス博士の項目をウィキペディアで調べると下記のような内容が記載されています。約10%近い人が、アトキンスダイエットを利用していたものの、わずか半年で2.1%に急落とのこと。
アメリカで一時期ブームとなった。ブームの中、2003年4月17日、アトキンスは転倒による頭の強打によって昏睡状態を原因として死亡した[4]。 アメリカの調査では2004年2月時点で消費者の9.1%がこの低炭水化物ダイエットを実行していると答えていたが、同じ年の7月には2.1%に急落しており、その後、アトンキンスニュートリッショナルズ社は破産法にもとづき会社更生手続きをとった[6]
ダイエットしたければ日本食を食べよう
米国や欧州では、日本以上に肥満が問題となっています。
そのために、何とかして肥満解消をしようと政府・民間が力を合わせて健康維持や食生活改善に取り組んでいます。
その中には、日本食を食べようという流れがあることをご存じの方も多いかと思います。
魚・コメ・野菜を中心に、ソースやマヨネーズなどの油や砂糖を使わない味付けは世界中で高く評価されているのです。
体型維持を心がけるハリウッド女優、怪我に強く運動能力の高い身体を作るスポーツ選手が日本食ファンであることは有名な話です。
イングランドプレミアリーグアーセナルの監督「アーセン・ベンゲル」は、日本で監督をした期間に日本食を学び、イングランドに渡った後、選手たちの生活管理を始めました。
それまでの肉中心の食事から魚・鳥・野菜・パン・コメをバランス良く取ることと過剰なアルコール摂取を禁止したことでサッカー選手の運動能力が向上しています。
世界中で評価されている日本食を普通に食べ、脂や砂糖を減らせばダイエットはできます。
砂糖や油、つまり、肉を減らし、マヨネーズ・ケチャップ・ソースを減らすのです。
そして、主食を食べて間食を減らし、適度な運動をすることがちょうど良い体型維持の唯一の方法です。
低炭水化物ダイエットによる健康被害
主食を控える「糖質制限食(低炭水化物食)」について、日本糖尿病学会は26日、「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」との見解を示した。炭水化物を総摂取カロリーの40%未満に抑える極端な糖質制限は、脂質やたんぱく質の過剰摂取につながることが多い
日本糖尿病学会からも低炭水化物の食事は、健康に良くないとのニュースが出ています。様々な病気につながる危険があるとのこと。