筋肉は外側にあるアウターマッスルとアウターマッスルの内側にあるインナーマッスル(深層筋)に分けることができます。
肩甲骨のこり:目次
インナーマッスルとアウターマッスルの役割
アウターマッスルは、大きな力を出す時に使う筋肉で、上腕二頭筋など実際に皮膚の上から手で感触を確かめることができます。ところがインナーマッスルは内側にある筋肉でなかなか感触や状況を感じることができません。
◆アウターマッスルは身体を動かす時に大きな力を出したり、関節を実際に動かす役割を担います。
◆インナーマッスルは、関節の動きを細かく微修正し、姿勢保持やバランスを取る役割を担います。
骨格についている筋肉(骨格筋)は、関節を作動させるための筋肉ですが、アウターマッスルが動かしてインナーマッスルが支えるという役割です。
インナーマッスルの重要性とパソコン病
ところで、近年、インナーマッスルの重要性があちこちで言われています。その理由として、仕事内容にデスクワークが増えたことがあげられます。
力仕事を行う際にはアウターマッスルが大きな力を発揮します。重い物を持ち上げ運ぶと上腕の筋肉や太腿の筋肉を使います。ところが、パソコンのキーボードを打つ、マウスでクリックする際には、腕に力こぶ一つできません。
マウスでクリックする動作を行うと前腕の下部で、わずかに筋肉が動いているのを感じ取れるかもしれません。この動きは、腕を通って肩から肩甲骨の裏のインナーマッスル「ローテーターカフ」へと進み、ここの筋肉が細かい動作の度に反応して指や腕の動きを支えてくれているのです。デスクワークでは、肉体的負荷は少ないのですが、本来、姿勢を保持し関節を支えるインナーマッスルに過度な負担を与えてしまうのです。この事が原因で、パソコン病やデスクワーク症候群と呼ばれる身体の不調が生じてきています。
インナーマッスルのこり
インナーマッスルのこりは外側の筋肉と異なり、マッサージでほぐしにくいことがやっかいな特徴の一つです。身体の奥にあることとほぐしにくく筋肉痛になりにくいことから積年の間にこりが積もってしまっているからです。効果的な治療法としては鍼灸・温熱など身体の奥から治療できる方法があります。肩こりや腰痛から首痛、めまいと様々な症状が発生します。
浦和レッズの永井雄一郎選手もマッサージで取れない筋肉疲労に悩まされた時期があるそうです。
インナーマッスルの鍛え方
ジムでの筋力トレーニングは、アウターマッスルを鍛えることが主流です。そのため、アウターマッスルだけ鍛えられてインナーマッスルが鍛えられずにボディバランスが悪化し怪我が増えるケースがありました。そのため、近頃はトレーニングもインナーマッスルの鍛え方が注目されています。体幹の鍛え方・インナーマッスルの鍛え方といった雑誌の特集や書籍を見かけます。
器具でいえば、バランスボールやストレッチポールを使ったトレーニングです。
スポーツ選手のジムトレーニング
スポーツ選手は、以前、実際にプレーしながら鍛えていました。
その後、ジムのトレーニングが流行してっとり早くパワーが手に入るということで、トレーニングマシンで鍛えていましたが、パワーは手に入っても柔軟性がなくなり、肉離れや関節の怪我が多くなることが判明しました。
野球選手では、その頃、投げ込み&走り込みで鍛えないと本物の筋肉はつかない派とジムトレーニング派が激論を戦わせていました。それは、インナーマッスルの問題だったのです。
筋肉トレーニングのインターバル(休息)
トレーニングについては、多くの方法がありますがここでは一つだけ。筋トレの基本は、「負荷×回数」です。
アウターマッスルを鍛える場合、「高負荷×低回数」が基本です。限界に近い高い負荷を何度か行う方法です。しかし、筋トレに慣れてない方やインナーマッスルを鍛える場合、限界に近い負荷のトレーニングは苦痛なものです。そこで、「低負荷×高回数」で筋トレを行ってみましょう。
例えば、腕立て伏せ。
30回の腕立て伏せが限界としたら、20回×1回や20回×2回行うより、10回×4回や15回×4回を行う方が長続きし鍛えることができます。
10回行ったら3分程休憩を4回繰り返します。これを2~3日おきに繰り返すと筋力がついてきます。
肩こり・腰痛の若年化
携帯電話やゲーム機の普及で、子供から少年の時期に肘を身体にくっつけて小さいボタンを押す動作を行うことが増えました。そのせいか高校生位から肩こりに悩まされる子供が増えています。
大きな動作が身体に与える負荷と小さな動作が身体に与える負荷は違います。このことを理解し、できるだけ筋トレ・ストレットなどで体をほぐしましょう。
・身体を冷やさない
・パソコン作業などは、1時間に1回休憩する。
・休憩時は身体を少しでも動かす
・作業中も時々、身体を動かす
などを行うことで身体へダメージを減らすことができます。
それでも治らない場合は、鍼灸治療院や整体などで見てもらいましょう。